頭痛を我慢し続けるリスク
日本では片頭痛の有病率が約8.4%、推計で約840万人が片頭痛を抱えていると報告されています。さらに緊張型頭痛は10代から90代まで幅広い年代で見られ、日本人に最も多い頭痛タイプです。にもかかわらず、頭痛を理由に医療機関を受診する人はごく一部。「頭痛くらいで病院に行くのは恥ずかしい」という声も少なくありません。
頭痛を我慢し続けると、仕事の生産性が落ちるだけでなく、痛み止めの使い過ぎによる薬物乱用頭痛を引き起こすリスクもあります。頭痛は決して「仕方のないもの」ではなく、適切に対処すれば改善できるものなのです。
頭痛には主に3つのタイプがあります。それぞれ特徴が異なるため、まずは自分の頭痛がどのタイプに当てはまるのかを知ることが大切です。
| タイプ | 痛みの特徴 | 主な誘因 | 効果的な対処 | 受診の目安 |
|---|
| 緊張型頭痛 | 締め付けられるような圧迫感、後頭部やこめかみ中心 | ストレス、長時間のデスクワーク、眼精疲労、冷房 | 入浴やマッサージで血行促進、肩甲骨ストレッチ、姿勢の改善 | 週に数回以上痛みがある |
| 片頭痛 | ズキズキと脈打つ痛み、吐き気、光や音に過敏 | 睡眠不足や寝すぎ、月経周期、特定の食品、気圧変化 | 静かで暗い部屋で休息、トリプタン製剤、予防薬の検討 | 月に数回以上、日常生活に支障が出る |
| 群発頭痛 | 目をえぐられるような激痛が片側の目の奥に集中 | 飲酒、喫煙、季節の変わり目 | 専門医の治療が必須、酸素吸入や注射薬 | 発作が1回でも起きたら早めに受診 |
タイプ別にできることから始める
緊張型頭痛に悩む人は、まず血行を良くすることを意識してみてください。ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、肩甲骨を回すストレッチを取り入れる、1時間に一度は席を立って体を動かす。デスクワーク中心の30代の佐藤さんも、毎晩の入浴と就寝前のストレッチを続けることで、週末の頭痛がかなり減ったといいます。
市販薬を使う場合は、鎮痛成分に加えて筋肉を緩める成分が配合されたものを選ぶと、緊張型頭痛には効果的です。ただし、痛み止めを週に3日以上使っている人は注意が必要です。市販薬の使い過ぎが原因で、逆に頭痛が慢性化するケースもあるからです。頭痛 市販薬 選び方の基本は、成分を確認し、連用しないこと。これに尽きます。
片頭痛は女性に多く、男性の約4倍の割合で発症します。月経周期、睡眠の乱れ、気圧の変化、チョコレートや赤ワインなどの食品。誘因は人それぞれです。
20代の田中さん(仮名)は毎月の生理前に片頭痛が起き、市販薬ではどうにもならず会社を休むこともありました。頭痛外来を受診してトリプタン製剤が処方されると、発作時のつらさが大きく軽減。さらに頭痛ダイアリーをつけるようになってからは、自分の誘因が「寝不足」と「生理前のホルモン変動」だとわかり、事前に対策できるようになったそうです。
片頭痛の対策で重要なのは、発作を我慢しないことです。痛みが軽いうちに薬を飲むほうが効果が高く、吐き気が強くなってからでは服用できないこともあります。近年はCGRP関連薬の登場で治療の選択肢も広がり、経口のCGRP受容体拮抗薬も日本で承認されています。発作時の治療だけでなく、発症を抑える予防的な使い方も可能です。
専門医にかかるタイミングと費用の目安
「頭痛外来って何をするの?」と不安に感じる人もいるかもしれません。頭痛外来では、国際的な診断基準に基づく問診を中心に診断が進められます。必要に応じてMRIやCTで脳の状態を確認することもあります。この検査は、脳腫瘍やくも膜下出血などの重大な病気を除外するために大切です。
以下のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 痛みが強く、寝込んでしまうことが月に数回ある
- しびれ、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状を伴う
- 市販薬が効かなくなってきた
- 50歳を過ぎてから突然頭痛が始まった
受診費用の目安は、初診の場合、保険適用3割負担で3,000円前後。CT検査が約4,000円、MRIが約7,000円程度かかります。高額療養費制度の対象になる場合もあるため、心配な人は窓口で相談してみてください。
頭痛外来は脳神経外科、脳神経内科、ペインクリニックなどの診療科に併設されていることが多く、日本頭痛学会認定の頭痛専門医が在籍する施設も増えています。近くの医療機関を探すときは、日本頭痛学会のホームページや各自治体の医療機関検索サイトが参考になります。
無理せず続けられる対策を
頭痛との付き合い方は人それぞれです。大切なのは、自分の頭痛のタイプを知り、無理のない範囲で対策を続けること。頭痛ダイアリーを1週間つけるだけでも、自分の傾向が見えてきます。そこから生活習慣の改善、市販薬の選び方、必要に応じた専門医の受診へとつなげていけば、頭痛に振り回されない毎日が少しずつ近づくはずです。