変わりゆく日本人の留学先
文部科学省と日本学生支援機構の調査によると、2024年度の日本人学生の海外留学は前年度比2.1%増の約9万1千人でした。ただ、伸び率は鈍化していて、1か月未満の短期留学は増えたものの、中長期の留学は減少しています。
注目すべきは目的地の変化です。これまで留学といえばアメリカが定番でしたが、2024年度にアジア圏へ渡航した学生は約3万7千人で前年度比7%増。一方、北米は8.4%減でした。2026年に入るとこの流れはさらに明確になっています。アメリカのビザ政策の厳格化、学費の高騰、円安の進行が重なり、日本経済新聞も「日本学生の留学重心がアジアへ移っている」と報じています。
ある私立大学の例では、例年35人前後が参加していた米国への5か月プログラムの申し込みが2026年秋は22人まで落ち込み、代わりにマレーシアの大学への希望者が倍以上に増えたそうです。費用の面では、2024年のアメリカ留学1年分の費用は約600万円から740万円。コロナ前の2019年と比べるとおよそ2倍近くまで膨らんでいます。こうした現実を前に、アジア圏の大学に設けられた英語コースや、現地で英語を学ぶプログラムを検討する人が増えているのです。
留学サービスの種類と選び方のポイント
留学エージェントには大きく分けて、幅広い国やプログラムを扱う大手、特定の分野に強い専門型、すべてオンラインで完結するタイプがあります。どこを選ぶにせよ、大切なのは「自分が何を求めているか」を先に整理しておくことです。
大手エージェントは対応国数が多く、学校選定からビザ申請、現地サポートまで一貫して任せられます。初めての留学なら安心感があります。一方、ワーキングホリデーや語学留学に特化した専門型は、分野ごとの細かいノウハウを持っていて、ベテランのカウンセラーに相談できるのが強みです。オンライン専門型は費用を抑えられますが、対面での相談がなく、渡航後の現地サポートの範囲が限られるケースもあるので、事前に確認が必要です。
ある調査では、留学経験者の約6割が複数のエージェントでカウンセリングを受けてから契約先を決めています。そして最終的な決め手になったのは「カウンセラーの知識や経験、相性」が約半数でトップ。手数料の安さを重視した人は1割強にとどまりました。留学という大きな決断だからこそ、書面の条件だけでなく、実際に話してみて信頼できる人かどうかを見極めるのが重要だといえます。
留学先とサービスを比べるための目安
2026年現在、円安の影響で英語圏の費用負担は増しています。一方でアジア圏は、英語で学位が取れるコースが増え、生活費も抑えられるため、予算重視の人に人気です。以下の表は、留学先のタイプ別にサービスの特徴をまとめたものです。
| タイプ | 代表的な目的地 | 1年あたりの費用目安 | こんな人に向く | メリット | 注意点 |
|---|
| 伝統的な英語圏 | アメリカ・カナダ・オーストラリア | 約275万円~740万円 | 本格的に学位取得や長期留学を目指す人 | 教育機関の選択肢が豊富、英語環境が徹底している | 学費・生活費の高騰、ビザ審査の厳格化 |
| アジアの英語コース | マレーシア・シンガポール・タイ | おおむね100万円台から200万円台 | 費用を抑えつつ英語力を伸ばしたい人 | 学費が手頃、日本から近く文化も馴染みやすい | 英語以外の生活言語への対応が必要な場合も |
| 短期プログラム | 語学学校中心(各地) | 数週間で数十万円程度 | 留学を体験してから判断したい人 | 時間と費用の負担が少ない | 本格的な語学力向上には物足りない場合も |
| オンライン完結型 | 世界中の学校 | 比較的抑えめ | 対面相談が難しい社会人や地方在住者 | 通う手間がない、柔軟に相談できる | 現地サポートの範囲が限られることがある |
アジア圏で注目されるマレーシアは、欧米の大学の分校や、現地で学びつつ英米豪の学位が得られる「ダブルディグリー」型のコースが増えています。国際教育機関のIDPも2026年にマレーシアへのサービス拡大を発表しており、「質の高い教育を手頃な価格で」というニーズに応えています。日本からも近く、時差も少ないため、初めての海外生活でも比較的馴染みやすいのが魅力です。
留学を成功に導くためのステップ
留学エージェントに相談する前に、まず自分の希望を整理しておきましょう。目的(語学力向上か、学位取得か)、期間、予算、言語レベル。この4つが固まっていれば、カウンセラーの提案内容もより具体的になります。
次に、2社から3社のカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。同じ希望を伝えても、エージェントによって提案される国や学校、費用の見積もりが異なります。比較することで「本当に自分に合ったプラン」が見えてきます。
契約前には、手数料体系をしっかり確認してください。完全無料型、完全有料型、一部有料型があり、無料型は学校からの紹介料で成り立っているケースが多いため、サポート範囲が限られることもあります。また、渡航後の現地サポートがどこまで含まれるのか、緊急時の連絡体制はどうなっているのかも重要な確認ポイントです。
ある20代の女性は、カナダのCo-opプログラム(有給インターン付き留学)を利用し、英語を学びながら働くことで生活費を補い、帰国後の転職にも役立つ経験を積めました。予算が限られていても、制度を上手に使えば選択肢は広がります。自分の状況に合った方法を、プロのアドバイスを交えながら探していくことが、留学を実りあるものにする近道です。
留学は人生の大きな転機です。迷いや不安があるのは自然なこと。まずは気軽に相談できる相手を見つけて、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。