日本人に多い2つの頭痛タイプ
頭痛とひと口にいっても、その正体は人によってまったく違う。片頭痛は片側が拍動するように痛み、光や音に敏感になったり吐き気を伴ったりするのが特徴だ。日本の成人のおよそ8%が該当するとされ、20代から40代の女性に多い。一方、緊張型頭痛は頭全体がベルトで締め付けられるような鈍い痛みが続く。肩こりや眼精疲労と密接に関係しており、長時間のデスクワークやスマホ操作が引き金になるケースが多い。都内の企業で働く30代から40代のオフィスワーカーから、頭痛の相談を受けることも少なくない。
問題は、この2つを区別せずに市販薬へ頼り続けることだ。頭痛が月に10日以上あるのに痛み止めを飲み続けると、薬物乱用頭痛という悪循環に陥る。薬の効き目が切れると痛みが戻り、また薬を飲む。このループから抜け出すには、まず自分の頭痛がどのタイプなのかを知ることが第一歩になる。
市販薬の選び方と使い分け
ドラッグストアの鎮痛薬コーナーには、ロキソニンS、イブ、バファリン、タイレノールなど多くの製品が並ぶ。市販の頭痛薬は成分の系統で大きく4つに分けられ、自分の体質や症状に合わせて選ぶのが基本だ。
NSAIDs系は炎症を抑えて痛みを鎮める。ロキソプロフェンは効き始めが早く、しっかり効く。イブプロフェンは生理痛にも効果的で、女性の片頭痛には選択肢になる。アセトアミノフェンは胃への負担が少なく、妊娠中や子どもの頭痛でも医師の指示のもとで使える。複合鎮痛薬はカフェインや鎮静成分を組み合わせて効き目を高めているが、その分、薬物乱用頭痛のリスクが単剤より高い。頭痛が月に4回以上ある人は、複合鎮痛薬より単剤を選ぶほうが安全だ。
| 薬の系統 | 代表的な成分 | 価格帯 | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|
| NSAIDs系 | ロキソプロフェン、イブプロフェン | 手頃な価格 | 効き始めが早く鎮痛効果が高い | 痛みが強く早く抑えたい人 | 胃への負担があるため食後が望ましい |
| アセトアミノフェン系 | アセトアミノフェン | 手頃な価格 | 胃への負担が少ない | 胃が弱い人 | 強い痛みには効きが弱い場合がある |
| 複合鎮痛薬 | アセトアミノフェン+カフェインなど | 手頃な価格 | 複数の成分で効き目を高めている | 単剤では効きにくい人 | 薬物乱用頭痛のリスクが単剤より高い |
| 漢方 | 呉茱萸湯、五苓散 | 手頃な価格 | 体質改善を目指す | 冷えやむくみを伴う頭痛 | 即効性は期待できない |
どの薬でも、飲む頻度が月に10日を超えるようなら注意が必要だ。痛み止めを毎日のように飲んでいる人は、薬を替える前に一度、専門医の診察を受けてほしい。薬剤師に「最近、頭痛薬をよく飲むんです」と相談するだけでも、自分に合った選び方のヒントが得られる。
セルフケアと専門医の受診タイミング
片頭痛の人は、痛みの前触れを感じたら静かな暗い部屋で休むのが効果的だ。カフェインが効く人もいるが、飲みすぎはかえって頭痛を誘発する。市販薬で改善しない場合は、頭痛外来でトリプタン製剤などの処方薬を検討するのもひとつの方法だ。近年は、従来の薬が効きにくい人に向けたCGRP関連の新しい予防薬も日本で広がりつつある。
緊張型頭痛のセルフケアとしては、首や肩の血行を整えることが鍵になる。40分から50分に一度は席を立ち、首をゆっくり動かす習慣をつけたい。スマホを見るときに頭が前方へ傾くと、後頭部の筋肉に負担がかかる。枕の高さや椅子の位置も見直してみよう。
市販薬を飲んでも痛みが引かない、頭痛が月に4回以上ある、吐き気や手足のしびれを伴う。こうしたサインがあれば、脳神経内科や頭痛外来を受診しよう。日本の頭痛外来は大学病院や総合病院に設置されていることが多く、電話やオンラインで予約を受け付けている。日本頭痛学会のウェブサイトでは、頭痛専門医を地域ごとに検索できる。遠方に住んでいる人や通院が難しい人は、オンライン診療に対応しているクリニックも増えているので、問い合わせてみてほしい。
初診では、頭痛ダイアリーの記録が診断の手がかりになる。いつから、どのくらいの頻度で、どんな痛みが出るのか。痛み止めを飲んだかどうかも併せて、2週間程度メモを続けてから受診すると、診察がスムーズに進む。診断がつけば、症状に合った薬の提案や、治療費の負担感を含めた治療計画を医師と一緒に立てられる。
東京都内で働く佐藤さん(30代)は、月に3回の片頭痛を市販薬でごまかしていた。転機は頭痛外来への受診だった。処方薬に切り替え、睡眠と食事のリズムを整えたことで、痛み止めを飲む日は月に1回以下に減ったという。あなたの頭痛も、正しい知識と適切な医療で必ず改善できる。まずは頭痛ダイアリーを1週間つけてみてほしい。自分の頭痛の正体が見えてきたら、地域の頭痛外来を探し、予約の電話をかけてみよう。