日本の頭痛事情と三つのタイプ
日本は世界的に見ても、慢性的な頭痛を抱える人が多い国です。長時間のデスクワークや残業が当たり前の働き方、スマートフォンの使いすぎ、さらに梅雨や台風といった気象条件が重なり、頭痛に苦しむ人が後を絶ちません。
頭痛と一口に言っても、症状は大きく三つのタイプに分かれます。
緊張型頭痛は、頭全体がギューッと締め付けられるような痛みが続くタイプです。肩こりや眼精疲労、ストレスが引き金になりやすく、30〜40代の働き盛りに多く見られます。オフィスで長時間同じ姿勢を続ける人に特に多いのが特徴です。
片頭痛は、こめかみあたりが脈打つようにズキズキと痛み、吐き気や光・音への敏感さを伴います。女性ホルモンの変動と関係が深く、20〜40代の女性に特に多いとされています。
そして近年、日本で注目を集めているのが**気象病(天気痛)**です。低気圧や気温・湿度の変化に体が反応し、頭痛やめまい、肩こりなどが現れます。名古屋大学の佐藤純博士らの研究では、気象病患者の約6割が女性で、平均年齢は40代前半という結果が出ています。台風シーズンや梅雨時に症状が悪化する人が多いのも、このタイプの特徴です。
三つのタイプは重なって現れることも珍しくありません。「自分はどのタイプか」を見極めることが、対策の第一歩になります。
タイプ別の対策と市販薬の選び方
頭痛のタイプによって、効果的な対策は異なります。以下の表にまとめました。
| タイプ | 特徴 | 主な対策 | 市販薬の目安 | 受診の目安 |
|---|
| 緊張型頭痛 | 締め付けられるような痛み | ストレッチ、姿勢改善、入浴 | ロキソプロフェンやイブプロフェン配合薬 | 週3回以上の発作が続く場合 |
| 片頭痛 | ズキズキする拍動性の痛み、吐き気を伴う | 静かな暗い部屋で休む、予防薬の検討 | 痛みが出始めたら早めに服用 | 月に4回以上の発作がある場合 |
| 気象病 | 天気の変化で悪化、めまいや肩こりを伴う | 耳まわりのマッサージ、規則正しい生活 | 効きにくいこともあるため専門医への相談がおすすめ | 天気が回復しても症状が続く場合 |
ドラッグストアでの選び方
市販の頭痛薬を選ぶときは、成分表示を確認しましょう。ロキソプロフェン配合の製品は即効性が高く、イブプロフェン配合の製品も痛みと炎症にしっかり働きます。胃が弱い方や15歳未満の場合は、アセトアミノフェン配合の製品が選択肢になります。
ただし、市販薬はあくまで対症療法です。同じ薬を月に10日以上使うようになったら、薬の使いすぎによる頭痛のリスクがあります。そうなる前に、医療機関で予防薬の処方について相談するのが望ましいです。
毎日の習慣でできること
緊張型頭痛には、1時間に一度の軽いストレッチや、画面の位置を目の高さに合わせる工夫が効果的です。片頭痛持ちの人は、睡眠時間を一定に保ち、空腹や脱水を避けるだけで発作の頻度が変わります。
気象病の対策としては、耳まわりを温めたりマッサージしたりする方法が知られています。気圧の変化を感じやすい人は、天気予報アプリの頭痛予報機能を活用して、悪化しそうな日の予定をゆったり組むのも一つの手です。
頭痛外来の活用と受診の目安
「市販薬では限界を感じる」「頭痛のために仕事を休むことが増えた」という方は、頭痛外来の受診を検討しましょう。日本頭痛学会が認定する頭痛専門医は全国に配置されており、脳神経内科や脳神経外科を中心に専門的な診断と治療を受けられます。
近年は、片頭痛の発作を予防する新しい治療選択肢も登場しています。発作が起きてから薬を飲むだけでなく、予防に働きかける治療が選べるようになったことで、生活の質を取り戻した人は少なくありません。
実際に、東京都内で働く30代の女性は、月に数回、吐き気を伴う片頭痛に悩まされていました。市販薬でしのいでいましたが、頭痛外来を受診して予防薬の処方と生活指導を受けたところ、発作の回数が半年で半分以下に減ったそうです。このように、専門医のサポートで改善するケースは多くあります。
地域の医療資源も充実しています。東京・渋谷の代々木駅前脳神経内科・内科クリニックのように、駅から徒歩1分の場所で頭痛外来を開設するクリニックが増えており、WEB予約やオンライン診療に対応する施設も少なくありません。仕事帰りや子育ての合間でも受診しやすい環境が整ってきています。
北海道から沖縄まで、日本頭痛学会のホームページで認定専門医の一覧を確認できます。お住まいの地域で探してみてください。
今日から始める頭痛対策
まずは、次の4つのステップから始めてみましょう。
- 頭痛ダイアリーをつける:痛みの場所、時間、強さ、天気、睡眠時間を記録します。受診のときに役立つだけでなく、自分の誘因に気づくきっかけになります。
- 市販薬の使用頻度を確認する:月に10日を超えていないか確認し、思い当たる場合は医療機関へ相談を。
- 地域の頭痛外来を調べる:日本頭痛学会のサイトで専門医一覧を確認し、WEB予約できる施設を探します。
- 生活リズムを整える:就寝・起床時間を固定し、朝食を抜かない習慣をつけます。
明日の天気が崩れそうなら、今夜は早めに湯船につかって、耳まわりを温めてみてください。それだけでも翌朝の頭の重さは変わってきます。頭痛の記録を続けるうちに、自分の誘因が見えてくるはずです。そして、その痛みが続くようなら、お住まいの地域の頭痛外来に問い合わせてみてください。頭痛は我慢するものではなく、治療できるもの。正しい知識と適切なケアで、毎日をもっと快適に過ごしましょう。