示談提示額に潜む落とし穴
事故に遭った直後、多くの人は「保険会社の言う通りに進めれば大丈夫」と考えます。しかし保険会社は交渉のプロです。被害者側の立場で直接向き合うと、気づかないうちに損をしているケースが少なくありません。
その理由の一つが、慰謝料の計算基準の違いです。保険会社は自社の任意保険基準で金額を提示しますが、これは裁判所が参考にする弁護士基準より低い水準に設定されています。むち打ちのような頚椎捻挫でも、基準の差で数十万円の開きが出ることは珍しくありません。
もう一つの落とし穴が過失割合です。提示された過失割合が自分に不利な内容でも、単独で覆すのは難しいものです。T字路や駐車場内の事故では、現場の図面や写真などの証拠が不十分だと、不利な割合を受け入れざるを得ない場面も出てきます。
さらに、治療が長引くと治療費の打ち切りを打診されることがあります。保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合、交通事故弁護士が医師の意見書を取得して延長交渉を行うケースも多くあります。治療の途中で打ち切られてしまうと、後遺症が残っても十分な賠償を受けられないまま終わってしまう恐れがあります。
弁護士依頼で変わる賠償額の考え方
交通事故弁護士に依頼すると、慰謝料や休業損害を弁護士基準で主張し直せます。ここで重要になるのが後遺障害等級認定です。症状固定後に残った症状がどの等級に認定されるかで、慰謝料や逸失利益は大きく動きます。
適切な等級に認定されるには、後遺障害診断書の記載内容や検査のタイミングが非常に重要です。これを素人判断で進めると、低い等級で認定されたり、非該当とされたりするケースが少なくありません。想定より低い結果になった場合でも、弁護士が異議申立ての手続きを行えば、等級が覆る可能性があります。実際に、停車中の追突事故で後遺障害14級が認定され、増額交渉で約197万円の増額に成功した事例や、渋滞中の玉突き事故で約120万円の増額を実現した事例が公表されています。
弁護士費用の負担が心配という方もいるでしょう。多くの自動車保険には弁護士費用特約が付帯しており、これを利用すれば相談料や着手金、成功報酬の一部を保険会社が負担する仕組みを活用できます。特約が付いていない場合も、法テラスや都道府県の弁護士会の紹介制度で費用負担を抑える方法があります。
| 対応方法 | 費用の目安 | メリット | デメリット |
|---|
| 保険会社と直接交渉 | 弁護士費用は不要 | 手続きの手間が少ない | 賠償額が低くなりがちで交渉の負担が大きい |
| 弁護士依頼(特約あり) | 弁護士費用特約で負担を軽減 | 弁護士基準での増額が期待でき交渉を代行 | 特約の限度額の確認が必要 |
| 弁護士依頼(特約なし) | 着手金10万円〜、成功報酬は経済的利益の10%〜20% | 増額分で費用を回収できる可能性 | 事前の費用負担が発生する |
費用相場を知っておくと安心
交通事故弁護士の費用は、多くの事務所が旧日本弁護士連合会の報酬等基準を参考に設定しています。相談料は30分あたり5,000円〜1万円、着手金は10万円からが目安です。成功報酬は弁護士の介入で獲得した金額の10%〜20%程度が一般的です。
重要なのは、成功報酬は獲得した賠償額に応じて発生するという点です。増額できた金額が大きいほど報酬も増えますが、被害者が手にする金額もそれだけ増えることになります。着手金を抑えた事務所や、費用体系を明確に説明してくれる事務所も増えているので、事前に確認しておくと安心です。
依頼を検討するなら今日からできること
事故後の行動が賠償額を左右するのは、どの地域でも同じです。交通事故 弁護士 東京のようなキーワードで検索する前に、まず次の三つを確認してみてください。
- 加入中の自動車保険に弁護士費用特約が付いているか、保険証券や契約内容を確認する
- ドライブレコーダーの映像、現場写真、診断書、通院記録など証拠を整理する
- 複数の法律事務所に初回相談を申し込み、費用説明が明確で交通事故事案の実績がある事務所を選ぶ
地域の窓口としては、各都道府県の弁護士会が運営する交通事故相談、法テラスの法律相談、交通事故紛争処理センターなどがあります。東京や大阪、名古屋といった都市圏では交通事故専門の事務所も多く、通院の頻度や治療方針まで含めてアドバイスを受けられます。
事故直後は痛みや不安で頭がいっぱいかもしれません。それでも、示談書にサインをする前であれば、まだ取り返す余地があります。まずは弁護士費用特約の有無を確認し、地元の弁護士会の窓口に電話をかけてみてください。その一本が、後々の賠償額を大きく変える第一歩になります。